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フィギュア塗料の種類と選び方|素材・工程別

Atjaunināts: 2026-03-19 19:58:50白石 彩花

フィギュア塗装は塗料の種類が多く、難しそうに見えます。
入口として「ラッカー」「水性アクリル」「エナメル」の3つに分けるだけで、見通しがぐっと良くなります。
筆者は賃貸での室内作業では『水性ホビーカラー』の筆塗りから始めて、PVCのプライズ補修で脱脂とプライマーを入れただけでマスキングの剥がれ方が目に見えて改善した経験があります。
この記事は筆塗りから始めたい初心者と、将来的に0.3mm前後のエアブラシ導入を検討している方を想定しています。
PVC・ABS・レジンの素材別に、安全寄りの塗料選びと避けるべき組み合わせを整理し、希釈比・吹き付け距離・エア圧といった具体的条件まで工程ごとに示します(出典: ホビージャパンウェブ等の実践記事)。

関連記事フィギュア塗装の基本と必要な道具|初心者向け完成品のリペイントも、レジンキットの新規塗装も、流れ自体は洗浄から始まり、下地を整えて、塗って、トップコートで守るという一本の線でつながっています。この記事では、全高20cm前後の最初の1体を安全に仕上げることを目標に、『Mr.サーフェイサー1000』やMr.スーパークリアーのような定番道具を軸に、

フィギュア塗料は3種類で考えると迷いにくい

塗料名を製品ごとに覚えようとすると混乱しがちですが、実際の使い分けは3分類で見ると整理できます。
『Mr.カラー』はラッカー系、『水性ホビーカラー』『タミヤカラー アクリル』ファレホは水性アクリル系、タミヤカラー エナメルはエナメル系という並びです。
ホビージャパンウェブの水性ホビーカラー、タミヤカラーアクリルの基本でも、この分け方を前提に特徴が整理されていて、最初の理解としてぶれません。

塗装プランを立てるときは、主役をラッカー系か水性アクリル系のどちらかに置き、エナメル系は細部専用と考えると失敗が減ります。
臭い、乾燥の速さ、塗膜の硬さがそれぞれ違うからです。
まずは全体像を頭に入れてから、各系統を順番に見ていきます。

ラッカー系とは

ラッカー系は、有機溶剤を使う模型塗料の定番です。
代表例はGSIクレオスの『Mr.カラー』で、乾燥が早く、乾いたあとの塗膜が硬いので、下地から本塗装まで幅広く受け持てます。
エアブラシとの相性もよく、ホビージャパンウェブのエアブラシ塗装をするために知っておきたい3原則で触れられているように、塗料の濃度・エア圧・吹き付け距離がまとまると、広い面も均一に仕上げやすい系統です。

その代わり、3種類の中では臭いがもっとも強く、換気は必須です。
室内作業では窓開放だけで済ませるのではなく、前述の通りブースや防毒対策まで含めて考える塗料だと捉えたほうが安全です。
塗膜が強いぶん、マスキングや重ね塗りの土台としても頼れます。
筆者も下地やベースカラーはラッカーで組むことが多く、あとから色味を少し触りたいときに、その上へ水性を重ねて筆ムラを直す流れは安定していました。

順番の話でいうと、筆者がいちばん痛い失敗をしたのは逆のケースです。
水性で整えた面の上からラッカーで再コートしたとき、表面が持っていかれて塗膜が荒れました。
ラッカーは下にある弱い塗膜へ強く作用するので、強い塗膜の上に弱い塗膜を重ねるのが基本です。
ラッカーの上に水性やエナメルは載せやすい一方で、水性やエナメルの上にラッカーをかけると溶剤攻撃を受けやすく、この順序だけで事故率が変わります。

商品名 | GSIクレオス Mr.Hobbymr-hobby.com

水性アクリル系とは

水性アクリル系は、臭いが控えめで、家庭内でも取り回しやすい塗料群です。
代表的なのは『水性ホビーカラー』『タミヤカラー アクリル』ファレホで、筆塗りとの相性がよく、最初の1本として選ばれやすい理由もここにあります。
『水性ホビーカラー』は公式でも家庭内で扱いやすい設計がうたわれていて、筆塗りは希釈なしでも始められます。

ラッカーほどの強い臭いはありませんが、換気が不要という意味ではありません。
水性でも塗料やうすめ液には成分由来の臭いがあり、作業中は軽めでも換気を取る前提で考えるのが自然です。
乾燥速度は中くらいで、ラッカーほどの瞬発力はない一方、筆運びの時間を少し確保できるので、初心者には扱いやすい場面が多いです。
塗膜はラッカーより柔らかめで、こすれやマスキングには一段気を使いますが、筆塗りの修正や色の足し引きがしやすいのは水性ならではです。

特に完成品フィギュアで多いPVC素材では、脱脂とプライマーを入れた上で水性アクリルを使う流れが安全寄りです。
コトブキヤのPVCパーツの塗装指南でも、PVCは表面の油分対策と下地づくりが要点として扱われています。
筆者の経験でも、ラッカー下地の上に水性で修正を入れると、色の境目を落ち着かせやすく、リカバリー工程として優秀でした。
主塗装を全部水性で進めることもできますし、臭気面を優先したい環境では現実的な主役候補になります。

水性ホビーカラー | GSIクレオス Mr.Hobbymr-hobby.com

エナメル系とは

エナメル系は、主役というより仕上げ担当の塗料です。
代表例はタミヤカラー エナメルで、乾燥は遅めですが、そのぶん流れ込みや拭き取りを活かした表現に向いています。
スミ入れ、細部の塗り分け、ぼかし、ウォッシングで強さを発揮するのはこの性質のおかげです。

臭いは水性より感じやすく、ラッカーほど強烈ではないものの、有機溶剤系として中程度の換気は必要です。
塗膜強度はラッカーより弱く、広い面の本塗装を全面的に担わせるには不向きです。
乾燥の遅さも相まって、触ってしまった跡やヨレが出やすく、初心者向けとしては「便利な補助塗料」と考えたほうが位置づけが明快です。

ただ、この補助性能は替えが利きません。
例えば肌や服をラッカーか水性アクリルで塗っておき、その上からエナメルでスミ入れをすると、はみ出したぶんを拭き取って陰影だけを残せます。
強い塗膜の上に弱い塗膜を重ねるという原則に沿っているので、作業の理屈も通っています。
逆に、エナメルの上へラッカーをかけるような順番は避けたいところです。
主塗装の中心はラッカー系か水性アクリル系、エナメル系は細部と仕上げという役割分担にしておくと、道具も手順もすっきりまとまります。

ラッカー・水性アクリル・エナメルの違いを用途別に比較

筆塗りで使い分ける

筆塗りを前提にすると、最初に軸へ置きやすいのは『水性ホビーカラー』や『タミヤカラー アクリル』のような水性アクリル系です。
臭いが穏やかで、塗料が筆先から乾き切るまでに少し余裕があるので、肌色や服の面を落ち着いてならせます。
集合住宅での筆塗りは、油性塗料と比べて臭いや揮発成分の影響が小さく、対応がしやすいです。
深夜作業でも家族から苦情が出にくく、翌朝に触れたときのベタつきも少なめで、机を片づける心理的な負担も軽く済みます。
家庭内で塗装時間を確保したい人にとって、この差は作業継続のしやすさに直結します。

一方で、発色の鋭さや塗膜の強さを優先するなら、ラッカー系の『Mr.カラー』はやはり頼れます。
乾燥が速いのでテンポ良く工程を進められますし、重ね塗りやマスキングにも強い側です。
ただ、筆塗りでは乾きが速すぎて筆ムラが残りやすく、広い面を一発で整えるには少し慣れが要ります。
換気の条件が整っていて、主に装甲や小物のベタ塗りを短時間で積みたい場面では有力ですが、室内で静かに進める筆塗りの主役としては水性アクリルのほうが収まりが良いでしょう。

エナメル系は、筆塗りの中でも「仕上げ専用」と考えると位置づけが明快です。
乾燥が遅めなので、はみ出した部分を拭き取りながら境界を整えたり、溝に色を残して陰影を作ったりする工程で光ります。
たとえばタミヤカラー エナメルは、金具、ベルトの縁、髪の隙間の影色といった細部に置くと、ラッカーや水性では出しにくい調整の余地があります。
広い面の主塗装に使うと乾燥待ちが長くなり、塗膜も強靭とは言い切れないので、補助役として使い分けるほうが失敗が少なくなります。

筆塗り目線の違いを簡単に整理すると、次のようになります。

項目ラッカー系水性アクリル系エナメル系
筆塗りとの相性発色と塗膜は優秀だが、速乾ゆえ筆ムラ対策が要る最も取り回しが良く、初心者の入口に置きやすい細部向け。広面積の主塗装には向かない
乾燥速度速い中程度遅め
重ね塗り適性高い。下地や主塗装で強いラッカー下地の上で安定しやすいベース完成後の追い込み向け
拭き取りやすさ低い低〜中高い
臭い強い少ない中程度の溶剤臭
換気の必要性必須室内作業でも扱いやすいが換気は欲しい必要

塗料の種類だけでなく、素材との相性も頭に置いておくと判断がぶれません。
完成品フィギュアで多いPVCは、脱脂とプライマーを入れてから塗ると筆塗りの定着が安定しますし、ABSが混じるパーツでは強い溶剤を避ける意識が効いてきます。コトブキヤのPVCパーツの塗装指南でも、PVCでは脱脂と下地処理が前提として整理されています。

エアブラシで使い分ける

エアブラシでは、ラッカー系が最も基準を作りやすい塗料です。
『Mr.カラー』は公式でもうすめ液での希釈が案内されており、エアブラシでは塗料1:うすめ液1あたりから組み立てやすい系統です。
薄く何層も重ねると表面が締まりやすく、塗膜も硬いので、フィギュアの髪や衣装のように色面を均一に見せたい箇所で力を発揮します。
0.3mm口径のハンドピースなら、ベースコートから軽いグラデーションまで守備範囲が広く、0.1MPa前後を中心に組むと扱いやすい場面が多いんですよね。

Hobby JAPAN WEBのエアブラシ塗装をするために知っておきたい3原則では、濃度・エア圧・吹き付け距離の3つが仕上がりを決めると整理されています。
距離の目安として約6cmが乗りやすく、12cmでは乗りが弱くなり、1.5cmでは偏りやすいという検証は、塗料選びの話にも直結します。
ラッカーは粒子のまとまりが出しやすいので、距離と圧を詰めたときに結果が読みやすいのが強みです。

水性アクリル系もエアブラシに対応できます。
『水性ホビーカラー』は公式で塗料1:うすめ液1の希釈が示されており、臭いを抑えつつ本塗装まで持っていきたいときの選択肢になります。
ラッカーほど塗膜の強さは出ませんが、室内中心の作業環境では現実的な落としどころです。
換気設備が取りにくい住環境では、水性ベースにして、塗膜の負荷が少ない工程で進めるほうが無理がありません。
逆に、塗装ブースや有機ガス用防毒マスクまで含めて環境を作れるなら、ラッカーベースのほうが工程全体のテンポは良くなります。

エナメル系はエアブラシの主役には置かず、ウォッシングやスミ入れ用に回すのが基本です。
乾燥の遅さと拭き取り前提の性質が長所なので、霧を均一に重ねるベースコート用途とは噛み合いません。
エアブラシ塗装で面を作ったあと、筆でエナメルを差して陰影を整える流れのほうが、塗料ごとの強みがきれいに分かれます。

エアブラシ前提の比較も表にすると把握しやすくなります。

項目ラッカー系水性アクリル系エナメル系
エアブラシとの相性ベースコートの基準にしやすい臭いを抑えた本塗装向け主用途ではない
乾燥速度速い中程度遅め
重ね塗り適性高い。短い間隔で層を作りやすい乾燥を見ながら積む運用向き面を重ねる用途には不向き
拭き取りやすさ低い低〜中高い
臭い強い少ない中程度の溶剤臭
換気の必要性強く求められるラッカーより穏やか必要

希釈の考え方にも差があります。
ラッカーは1:1から入りやすく、水性アクリルも『水性ホビーカラー』なら1:1が基準になります。GoodsPress Webのエアブラシ使いこなしのポイントは塗料の濃度では、水性アクリルの実践例として塗料4:溶剤6や、ファレホ 1:エアブラシシンナー0.5といった考え方も紹介されています。
ラッカーか水性かで迷ったときは、仕上がりだけでなく、臭いと換気のコストまで含めて考えると現実的です。

工程別の向き不向き

工程単位で塗料を分けると、3種類の違いはさらにわかりやすくなります。
下地では、ラッカー系のプライマー入りサーフェイサーが定番です。
GSIクレオスの『Mr.プライマーサーフェイサー』は、食いつきにくい素材への密着補助と傷確認を兼ねられるので、PVCやレジンの下地整理に向きます。
既製品リペイントではサーフェイサーを省く考え方もありますが、色の統一や傷の見落とし防止まで含めると、下地の恩恵はやはり大きいです。
水性ベースで進めたい場合は、水性プライマーやベースカラーを使った下地づくりが候補になります。

本塗装では、ラッカー系か水性アクリル系の2択と考えて問題ありません。
発色、乾燥の速さ、マスキング耐性を取りにいくならラッカー系、臭いを抑えて室内で進めるなら水性アクリル系という分担です。
たとえば肌や服の面をエアブラシで均一に整えるなら『Mr.カラー』、集合住宅で夜に筆塗り中心で進めるなら『水性ホビーカラー』という選び方が素直です。
どちらも主塗装の担当になれますが、生活環境まで含めると向く方向ははっきり分かれます。

細部塗装では、エナメル系が一気に存在感を出します。
モールドのスミ入れ、金具の塗り分け、陰色のぼかしでは、乾燥が遅くて拭き取りが利く性質がそのまま武器になります。
目元や装飾の微修正だけなら、水性アクリルを面相筆で使う方法も相性が良いです。
ラッカーで細部まで押し切ると、乾燥の速さが逆に修正の余地を奪うことがあるので、細密工程ではエナメルか水性へ持ち替えたほうが落ち着いて進められます。

トップコートの完全硬化は塗料や環境で差が出るため、一般的な目安の一例として48時間程度とする実践報告がありますが、まずはメーカーの仕様と現場での試し塗りを優先してください(出典: 実践記事/メーカー情報)。

工程ごとの向き不向きを整理すると、こうなります。

工程向く塗料・資材理由
下地処理ラッカー系プライマー・サーフェイサー、水性プライマー密着補助、傷確認、下地色の統一
本塗装ラッカー系、水性アクリル系面を作る工程の主役。作業環境で選び分ける
細部塗装エナメル系、水性アクリル系の筆塗り拭き取り修正や細かな色差しに向く
仕上げトップコート保護と艶の調整を担当

この分担で見ると、室内中心で換気を取りにくいなら水性アクリルを主軸にして、細部だけエナメルへ振る構成が現実的です。
換気設備があり、塗装ブースや防毒マスクまで含めて整えられるなら、ラッカーを下地と本塗装の軸に据えると工程が締まります。
3種類を競わせるより、下地・本塗装・細部・仕上げの担当を分けたほうが、塗料選びの迷いはずっと減ります。

関連記事フィギュア筆塗りの基本|初心者の道具と手順エアブラシがなくても、筆塗りならフィギュアの色分けと仕上げは十分に始められます。この記事は、これから筆塗りに挑戦する初心者に向けて、水性ホビーカラーを軸にした最低限の道具選びから、平筆と面相筆の使い分け、薄く2〜3回重ねてムラを抑える塗り方、トップコートで見た目を整えるところまでを順番にまとめたものです。

PVC・ABS・レジンで塗料選びは変わる

PVCの注意点

PVCは完成品フィギュアで最もよく出会う素材です。
ただ、塗る前の状態がそのまま塗装に向くとは限りません。
既製品では表面に可塑剤由来の油分が残っていることがあり、そのまま塗ると色は乗っても、あとで爪先やマスキングの端からめくれることがあります。
ここがPVCで事故が起きやすいポイントなんです。

そのため、PVCはまず脱脂、そのあとにプライマーという順番で考えるのが安全寄りです。コトブキヤのPVCパーツの塗装指南でも、PVCでは脱脂と下地づくりが前提として扱われています。
筆者も既製品のリペイントでは、塗料の種類を考える前に表面の油分を落として、密着を助ける下地を入れるところから始めます。
プライマー成分入りの『Mr.プライマーサーフェイサー』のような製品が候補に入りやすいのは、こうした食いつきの弱さを補いたいからです。

PVCでもうひとつ気をつけたいのが、強い溶剤との付き合い方です。
筆者は以前、PVCパーツをレジンウォッシュに長く浸けてしまい、触るとわかるくらい柔らかくしてしまったことがあります。
形が崩れるところまでは行かなかったものの、あのときから洗浄は中性洗剤での手洗いとアルコール拭きへ切り替えました。
汚れを落とす工程でも、PVCは「長時間浸す」より「短時間で終える」ほうが安心できます。

本塗装に入ったあとも、PVCは素材自体が少ししなるので、硬い塗膜を一気に厚く載せるより、薄い層を重ねていくほうが破綻が出にくくなります。
下地さえ安定すればラッカーも水性アクリルも候補に入りますが、可動部や薄いパーツでは塗膜割れまで視野に入るので、面を一発で決めにいかない進め方が向いています。

朱羅 忍者 モデラーズエディション PVCパーツの塗装指南!| KOTOBUKIYA メガミ開発室 #メガミデバイスkotobukiya.co.jp

ABSの注意点

ABSは硬質パーツやジョイントまわり、一部の装飾パーツで使われることがある素材です。
PVCよりカチッとした感触があって塗れそうに見えるのですが、強い溶剤を急に入れるとクラックや割れにつながることがあります。
完成品フィギュアでは見えにくい場所にABSが混ざっていることもあるので、素材が読みにくいパーツほど慎重に扱いたいところです。

安全寄りで組むなら、ABSは水性アクリルや、刺激の穏やかな下地から入るほうが無難です。
ホビージャパンウェブの水性ホビーカラー、タミヤカラーアクリルの基本でも、水性アクリルは扱いやすい系統として整理されていますが、ABSではこの「素材を急に攻めない」という意味でも相性が良いです。
たとえば『水性ホビーカラー』や『タミヤカラー アクリル』なら、いきなり強い溶剤で表面を荒らす心配を減らしながら、発色の確認と食いつきの見極めを進められます。

ラッカー系をまったく使えないと断定できる根拠までは、今回確認できた範囲にはありません。
ただ、ABSは「使えるかどうか」より「どこまで攻めるか」で差が出る素材です。
筆者なら、薄く吹いた下地で反応を見て、エッジやダボ周辺に変化が出ないかを先に確かめます。
いきなり本番パーツの正面へ乗せるのではなく、見えない裏側や余剰パーツで様子を見るほうが、割れたあとに悔やまずに済みます。

可動部を含むABSパーツでは、塗料の相性だけでなく、塗膜の厚みも無視できません。
表面が無事でも、擦れで塗膜が削れたり、テンションがかかった部分から細かなヒビが入ったりします。
不明な樹脂や薄肉パーツを触るときは、水性から入って薄塗り、乾燥を十分に取って、反応を見ながら重ねる。
この順番にしておくと、止まる判断がしやすくなります。

水性ホビーカラー、タミヤカラーアクリル、「水溶性アクリル塗料」の基本を解説 – Hobby JAPAN Webhjweb.jp

レジン(ガレキ)の注意点

レジンはガレージキットの定番素材で、塗装前提の「素材らしい素材」です。
ただし、買ってすぐ塗れるわけではありません。
成形時の離型剤が表面に残っていることが多く、洗浄せずにサーフェイサーへ進むと、弾きや密着不良の原因になります。
レジンは洗ってから始まる、と覚えておくと工程がぶれません。

洗浄後は、プライマーやサーフェイサーを入れて下地を決めてから本塗装へ進みます。
GSIクレオスの『Mr.プライマーサーフェイサー』は、公式でもレジンのような食いつきにくい素材向けとして案内されていますし、ガイアノーツのガイアマルチプライマーもレジンキャスト対応を打ち出しています。
レジンはこの下地工程が決まると、その先はラッカーでも水性アクリルでも組み立てやすくなります。
素材そのものより、下地不足のほうが失敗原因になりやすい印象です。

筆者の作業でも、レジンは洗浄とサフで完成度の半分近くが決まります。
表面の離型剤が抜けて、傷や気泡の位置が見える状態になると、塗る前の修正が一気に進みます。
ここを飛ばすと、発色の話に入る前に弾きや剥がれで止まります。
逆にいえば、下地がきれいなら塗料の選択肢は広がります。
エアブラシでラッカーを重ねてもしっかり乗りますし、臭いを抑えたい場面では水性アクリルへ振っても進行が安定します。

レジンは素材判別で迷いにくいぶん、油断すると「洗ったつもり」で次へ進みがちです。
特に古いキットや再生産品では表面の状態に差があり、部分ごとに反応が変わることもあります。
そういうときほど、目立たない箇所で試し塗りを挟み、下地が安定しているかを見てから本塗装へ進めると、後工程の修正が少なく済みます。

下地処理で仕上がりと剥がれにくさが決まる

脱脂

塗料の種類を選ぶ前に、まず表面を「塗れる状態」に整える工程が要ります。
ここで最初に入るのが脱脂です。
目的は、手の油分や製造時の離型剤を落として、下地や塗料が素地をきちんとつかめる状態にすることにあります。
見た目がきれいでも、表面に薄い油膜が残っているだけで弾きや部分的な剥がれにつながるので、塗装の成否はこの段階から始まっています。

進め方はシンプルで、中性洗剤でやさしく手洗いして、すすいだあとにしっかり乾かす。
この順番が基本です。
レジンでは特に離型剤残りが後工程へ響きやすく、既製品フィギュアでも保管中の皮脂やホコリが乗っています。
乾燥後にまだ不安が残るときだけ、アルコールで軽く拭いて表面を整えると、次の工程へつなげやすくなります。
筆者もPVCの既製品を触るときは、強い溶剤で一気に落とそうとせず、この手順を崩さないようにしています。

ここで見たいのは、表面に水が不自然にはじかれず、乾いたあとにぬるっとした感触が残っていないことです。
脱脂は目立つ作業ではありませんが、塗装面がまだらに縮むトラブルの多くは、塗料そのものより前段の洗浄不足で説明できます。
塗る技術より先に、塗料が乗る土台を作る工程なんです。

プライマー

脱脂が「汚れを落とす工程」だとしたら、プライマーは「素材と塗膜をつなぐ接着の補助役」です。
とくにPVC、ABS、レジン、金属パーツのように食いつきが安定しない相手では、このひと手間で密着の基準が変わります。
塗料をそのまま乗せるより、まずプライマーで足場を作ったほうが、マスキングや後工程での剥がれを減らしやすくなります。

製品でいうと、GSIクレオスの『Mr.プライマーサーフェイサー』は、プライマー成分とサーフェイサーを一度に入れたい場面で扱いやすい定番です。
レジンや金属のような食いつきにくい素材向けとして公式でも案内されていますし、既製品の部分塗装でも出番があります。
素材への密着を優先して単体で考えるなら、ガイアノーツのガイアマルチプライマーも候補に入ります。
レジンキャストや金属パーツ向けとして設計されていて、薄く均一に入れる前提がはっきりしているのが特徴です。
水性寄りで進めたい場面では、水性プライマー各種を使って刺激を抑えつつ下地を作る考え方もあります。

コトブキヤのPVCパーツの塗装指南でも、PVCで脱脂とプライマーが前提工程として扱われていますが、これは「何を塗るか」より先に「どう密着させるか」が問われるからです。
ここでの役割はサーフェイサーとは少し違います。
プライマーの中心は素材密着で、表面の傷を見つけたり色をそろえたりすることは本職ではありません。
役目を分けて考えると、下地処理の判断がぶれにくくなります。

商品名 | GSIクレオス Mr.Hobbymr-hobby.com

サーフェイサーの要/不要の見極め

サーフェイサー、いわゆるサフは、毎回必須の儀式ではありません。
役割は主に3つで、表面傷のチェック、下地色の統一、そして上塗りの隠蔽力を助けることです。
プライマーが「素材に食いつかせる」ためのものなら、サーフェイサーは「塗膜を整えて見た目をそろえる」ためのもの、と分けると整理しやすくなります。ホビージャパンウェブのサーフェイサーって本当に必要?でも、サフは目的に応じて使い分けるものとして扱われています。

不要な場面は、既製品の部分リペイントでモールドをなるべく残したいときや、元の色との差が小さいときです。
たとえば髪飾りだけ塗り替える、衣装の一部だけトーンを少し変える、といった作業では、下地がすでに整っていて隠蔽もそこまで求められません。
ここで厚くサフを入れると、細い凹線やエッジの情報を自分で埋めてしまいます。

反対に、必要性が高いのはレジンの表面確認をしたいときや、大きく色替えするときです。
レジンは洗浄後の地肌だけでは傷や巣穴の見え方にムラがあり、サフをひと膜入れると修正箇所が一気に浮いてきます。
濃い成形色から明るい色へ振る場合も、下地色をそろえておかないと発色が暴れます。
サフは塗装そのものではなく、その先の本塗装を安定させるための整地なんですね。

筆者は以前、サフを厚く乗せすぎてモールドが甘くなったことがありました。
せっかくの髪の流れや衣装の段差がぼやけて、塗る前より情報量が減ってしまったんです。
それ以来、サフは一度で決めようとせず、薄吹きを2〜3回で止める形に切り替えました。
このほうがエッジが残り、面の締まりも出ます。
仕上がりが一段引き締まったと感じたのは、この工程の入れ方を変えてからです。

判断基準として見たいのは、均一な下地色になっていて、手触りがサラサラで、粉をふいたような荒れが出ていないことです。
そこまで到達していれば、サフの役目は果たせています。
まだ素地の色が透けるからといって厚みで解決しようとすると、細部を失いやすくなります。
サフは「隠すために盛る」より、「薄く重ねて整える」と考えたほうが、フィギュアの情報量を守ったまま次の色へ進めます。

“サーフェイサー”って本当に必要? 気になるプラモ塗装の「下地」や「隠蔽力」の話を解説!【模型質問箱】 – Hobby JAPAN Webhjweb.jp

初心者の最小セットと中級者の拡張セット

最小構成

室内で筆塗りから始めるなら、最初の一式は思っているより絞れます。
軸になるのは水性アクリル塗料で、『水性ホビーカラー』『タミヤ アクリル』ファレホのどれかを中心に据える形です。
臭いを抑えやすく、筆でも扱いやすいので、既製品フィギュアの部分塗装や小さな色替えから入りたい人と相性がいい構成です。
前の工程で触れた脱脂や下地処理とつなげるなら、この段階で無理に溶剤の強い塗料へ飛ばなくても、塗装の流れそのものは十分につかめます。

揃えたい道具は、まず塗料本体に加えて専用うすめ液です。
『水性ホビーカラー』は公式でもエアブラシ時に塗料1:うすめ液1が案内されていますが、筆塗りでは基本的にそのまま使える設計です。
とはいえ、実際の作業では少量だけ伸びを整えたい場面が出るので、純正のうすめ液を手元に置いておくと塗面の荒れを抑えやすくなります。
水で代用する方法もありますが、専用品のほうが塗料のまとまり方が安定します。
ここは節約の優先順位を下げたほうが、失敗の回数が減ります。

筆は面相筆と平筆があれば十分です。
面相筆は0号前後、平筆は0〜2号あたりを1本ずつ持っておくと、瞳まわりや装飾のような細部と、髪や衣装の面塗りを分担できます。
高価な天然毛から入らなくても進められますが、穂先がまとまる筆を1本持っているだけで、線のコントロールは一段安定します。
筆者が最初に揃えたのも、このごく小さな組み合わせでした。

洗浄まわりでは、中性洗剤とアルコールも最小セットに入ります。
中性洗剤はパーツ洗浄、アルコールは乾燥後の軽い拭き取りや道具まわりの整理に使い分ける形です。
さらに、食いつきの不安が残る素材には低臭タイプのプライマーを1本入れておくと安心感が違います。
既製品のPVCや一部ABSでは、塗る技術より前に「塗料が残る足場」があるかどうかで差が出るからです。
塗り分け用には『タミヤ』のマスキングテープも早い段階で入れておくと、境界が締まります。
『タミヤ』公式オンラインでは10mmが税込385円、18mmが税込495円、40mmが税込550円と幅違いで揃っていて、用途ごとに選びやすい構成です。

予算感としては、この最小構成なら1万円前後から組めます。
塗料の色数を最初から広げすぎず、基本色と白・黒・クリア系を中心に絞ると、道具の質を落とさずに始められます。
筆者自身も最初はこの水性塗料+筆の組み合わせで入りました。
半年ほどは筆塗りだけで進めていましたが、その期間で「どこでムラになるのか」「どの素材で弾かれるのか」が見えてきたので、後から道具を足したときも遠回りになりませんでした。

拡張構成

作業面を広く、均一に、短い時間で整えたい段階に入ると、拡張の中心はエアブラシになります。
導入の基準としてまとまりがいいのは、0.3mmのハンドピースと、0.1MPa前後を出せるホビー向けコンプレッサーの組み合わせです。
0.3mmは模型用では標準的な口径で、下地から本塗装、軽いグラデーションまで受け持てます。
細吹き専用の尖った構成ではないので、最初の1本として無理がありません。

塗料はこの段階でラッカー系を主力に置くと、エアブラシの利点がはっきり出ます。
『Mr.カラー』やガイアカラーのようなラッカー塗料に、対応するラッカーうすめ液を組み合わせる形です。
『Mr.カラー』は公式でも専用うすめ液での希釈が案内されていて、エアブラシでは1:1あたりから組み立てやすい系統です。
ホビージャパンウェブのエアブラシ塗装をするために知っておきたい3原則でも、ラッカー塗料は1:1程度が基準として挙げられていて、吹き付け距離は約6cmがまとまりやすい位置として整理されています。
筆者もエアブラシへ移った直後は、技術そのものより希釈と距離の基準を持てたことが大きくて、そこを掴んだ途端に失敗が急に減りました。
塗料を濃すぎるまま近づけすぎる、あるいは薄すぎるまま遠すぎる位置から吹く、そのどちらかで崩れていたんですよね。

水性アクリルをエアブラシに使う拡張も可能です。
GoodsPress Webの濃度解説では、水性アクリルで塗料4:溶剤6、艶あり塗装では1:1、さらにファレホでは塗料1:エアブラシシンナー0.5という実践例が示されています。
筆塗りからの延長で匂いを抑えつつ吹きたいなら、この方向も十分現実的です。
ただ、エアブラシの導入効果をもっとも体感しやすいのは、やはりラッカー系の薄吹きだと筆者は感じています。
表面が締まり、面がそろい、重ねるたびに色が積み上がる感覚がつかみやすいからです。

拡張構成で費用の比重が大きくなるのは、本体より周辺設備です。
ハンドピース、コンプレッサー、スプレーブースまで含めると、一式で3〜5万円規模になります。
ここに塗料、うすめ液、洗浄用品、保護具が加わるので、筆塗り中心の最小構成とは予算の考え方が変わります。
逆に言えば、この段階で無理に色数を増やすより、空気まわりと排気まわりを先に整えたほうが、塗装そのものの成功率に直結します。

TIP

エアブラシ導入直後は、塗料の種類を増やすより「同じ塗料で希釈だけを変えて吹く」ほうが感覚をつかみやすくなります。
1:1を基準にして、少し濃い、少し薄いを並べると、粒立ちや面の締まり方の違いが見えます。

安全装備と換気

拡張構成では、道具としての塗装機材と同じ重さで安全装備を入れておきたいところです。
ラッカー塗料を使うなら、防毒マスクと換気設備はセットで考える必要があります。
『Mr.カラー』は公式でも有機溶剤を含む塗料として換気を求めていますし、吸い込む蒸気を減らす役目はブースだけでは足りません。
呼吸側の対策としては、3Mの有機ガス用吸収缶に対応した防毒マスクが定番です。3M公式でも、シリーズごとに有機ガス用吸収缶を組み合わせる構成が案内されています。
室内でラッカーを吹くなら、ここを省く組み方は避けたいです。

手元の保護にはニトリル手袋が入ります。
塗料やうすめ液が皮膚に付くのを減らし、調色カップやハンドピースの洗浄でも手が荒れにくくなります。
ただし、ニトリル手袋は強い有機溶剤に対して万能な壁ではありません。
短時間の付着対策として考え、長くシンナーに触れ続ける前提では使わない、という距離感が現実的です。

水性塗料中心の最小構成でも、換気そのものは切り離せません。
臭いが穏やかでも、塗料や洗浄液のミストが室内に残ると作業空間が鈍くなります。
筆塗りであっても窓を開ける、空気を流す、乾燥スペースを分けるといった基本だけで、作業の快適さが変わります。
安全装備は「ラッカーだから特別に必要」ではなく、ラッカーでは必須、水性でも省略しない意識で整えるとブレません。

塗料とうすめ液の組み合わせも、安全と仕上がりの両方に効いてきます。
『Mr.カラー』にはMr.カラー用うすめ液、『水性ホビーカラー』には水性ホビーカラー用うすめ液、『タミヤ アクリル』には専用アクリル溶剤というように、純正またはメーカーが案内している組み合わせでそろえるほうが事故が起きにくくなります。
塗膜の荒れや分離は見た目の問題だけでなく、再作業で溶剤に触れる時間が伸びる原因にもなるので、結果として安全面にも跳ね返ってきます。
道具の数を増やすより先に、組み合わせの相性をそろえるほうが、作業全体の流れが安定します。

工程別のおすすめの使い分け

下地

工程を迷わず進めるなら、まずは「素材に食いつかせる層」と「傷や色ムラを整える層」を分けて考えると流れが安定します。
下地の出発点はプライマーです。
PVCやレジンのように塗料が乗っても剥がれやすい素材では、プライマーで密着の土台を作ってから色に入るほうが事故が減ります。
コトブキヤのPVCパーツの塗装指南でも、PVCでは脱脂とプライマーが軸になると整理されています。
完成品フィギュアのリペイントでも、この順番を飛ばすと見た目は塗れていても、後のマスキングや組み戻しで端からめくれやすくなります。

その上で、表面の細かな傷を見たい、元色を隠したい、段差を均一に見せたいときにサーフェイサーを重ねます。
プライマーとサフが一体化した『Mr.プライマーサーフェイサー』のような製品は、この2段階を一度に進めたい場面で便利です。
レジンや金属への食いつきを意識した設計なので、ガレージキットの定番として扱いやすいんですよね。
反対に、もともと表面状態が整っていて、透けや傷の確認をそこまで必要としない箇所では、プライマーを薄く通してそのまま本塗装に進む判断もあります。
『サーフェイサーって本当に必要?』でも、サフは万能の必須工程というより、下地調整の目的で使い分けるものとして整理されています。

筆者は髪パーツや軟質気味のPVCを触るときほど、下地で欲張らず薄く均一に止めるようにしています。
下地を厚く積むより、密着を確保して表面の状態を見極め、本塗装で色を育てたほうがフィギュアらしい輪郭が残ります。

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本塗装

本塗装は、作業環境で主力を決めると組み立てやすくなります。
換気設備が整っているなら、中心はラッカー系です。
『Mr.カラー』のようなラッカー系は乾きが早く、面の締まり方も安定しているので、髪や衣装の広い色面をそろえたいときに強いです。
エアブラシでは塗料とうすめ液を1:1あたりから組むと基準を作りやすく、吹き付け距離は約6cmがまとまりやすい条件としてホビージャパンウェブの『エアブラシ塗装をするために知っておきたい3原則』でも示されています。
筆者も広い面を吹くときは、この基準から外れないようにすると失敗が減りました。

一方で、水性アクリル中心でも本塗装は十分成立します。
『水性ホビーカラー』は公式でもエアブラシ時に1:1の希釈が案内されていて、筆塗りでは希釈なしで扱える色も多く、賃貸や室内中心の制作では現実的な主役です。
筆者の感覚でも、肌や淡色の衣装は水性のほうが筆跡を見ながら丁寧に整えやすく、塗り急がずに済みます。
広い面はエアブラシ、襟やフリル、アクセサリーまわりの狭い面は筆塗りという分担にすると、道具の強みがきれいに分かれます。

本塗装で覚えておきたいのは、塗料の系統より「面積に合った塗り方」を選ぶことです。
たとえばスカートの大きな面を筆で一気に追いかけると塗り継ぎが目立ちやすく、逆に瞳の周囲や小さな装飾までエアブラシで処理すると境界の制御が難しくなります。
広い面をエアブラシで均一に置き、狭い面を面相筆で切り分ける流れにすると、再現性が上がります。

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細部・スミ入れ

本体の色面ができたら、追い込みはエナメルか水性の筆塗りで進めると整理しやすくなります。
金具、ベルト、ボタン、瞳のハイライト、髪の影差しのように「少量を正確に置きたい」工程では、『タミヤ エナメル』のようなエナメル系が便利です。
乾きが遅めなので筆先でならした跡が残りにくく、スミ入れ後の拭き取りにも向いています。
溝に流して、はみ出した部分だけを整える前提の作業では、この性質が効きます。

ただし、ABS系パーツにエナメル溶剤を強く回す使い方は避けたい場面があります。
拭き取りを前提にするなら、割れや負荷が出やすい箇所へ溶剤を溜めず、必要最小限で止めるほうが安全です。
完成品フィギュアの関節まわりや、見えにくい裏側の硬質パーツでは、筆者もエナメル一択にせず、水性アクリルで細部だけ塗り分けることがあります。
修正の自由度ではエナメル、素材への穏やかさでは水性筆塗りという分担です。

細部で手が止まりやすい人ほど、「主塗装と同じ塗料で全部やろう」としないほうが流れは安定します。
ラッカーでベースを固め、その上にエナメルでスミ入れ、水性で小さな色差しを入れるという組み合わせは、役割がはっきりしているぶん迷いが減ります。フィギュア リペイントのやり方 塗料の種類を把握するでも、ラッカー・アクリル・エナメルを工程ごとに分ける考え方が整理されていて、実作業の流れに落とし込みやすいです。

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トップコート

仕上げはトップコートで艶を整え、塗膜を守る段階です。
ここでは光沢、半光沢、つや消しを「見た目の好み」だけでなく、素材感の演出として使い分けると完成度が上がります。
光沢は発色を前に出したい衣装やエナメル風のブーツに合いますし、半光沢は肌や革小物のように少しだけ光を拾わせたい部分に向きます。
つや消しは髪や布地、影を落ち着かせたい面で効きます。
筆者はPVCの髪パーツをつや消し、肌を半光沢、衣装を光沢で仕上げることが多いのですが、この組み合わせにすると同じ造形でも質感の差が立って、立体としての見栄えが一段上がります。

完全硬化の目安として48時間程度を挙げる実践例はありますが、これはあくまで一例です。
実際の硬化時間は塗料や温湿度で変わるため、メーカー推奨と試し吹きを優先してください。

重ね順にも気を配りたいところです。
ベースが水性のように溶剤負荷へ弱い塗膜なら、その上にラッカー系トップコートをいきなり強く乗せると荒れやすくなります。
どうしても使うなら、乾燥を置いたうえでごく軽い試し吹きから入るほうが流れを崩しません。
本塗装、細部、仕上げの順番が守られていても、最終層で強い溶剤を一度に当てると、それまでの積み重ねが戻ってしまうからです。

エアブラシと筆塗りでの希釈・乾燥の目安

ラッカーの希釈

ラッカー系をエアブラシで吹くときは、『Mr.カラー』のような定番塗料でも、まず塗料1:うすめ液1を起点にすると外しにくいです。
Mr.HOBBY公式でもエアブラシ時の希釈に専用のMr.カラー用うすめ液を使う前提が示されていて、筆者もこの比率から始めると噴き方の癖を読み取りやすくなります。
光沢寄りに平滑さを詰めたいときは、そこから少しだけ薄め側へ振るとミストが細かくなり、表面のザラつきを抑えやすくなります。

新品ボトルは粘度が高めに感じることがあり、実務者の経験例として塗料:薄め液 = 2:3 程度から調整することがある、という報告があります。
ただし色、ロット、温度で挙動が変わるため、余ったランナーや試験ピースで必ず試し吹きを行い、最適比を確認してください(出典: 実践例)。

筆塗りではラッカーを無理に薄くしすぎると、乾く前に筆跡を追う余裕が減ってムラを呼びます。
ラッカーを筆で使うなら、希釈は最小限に留めて小面積だけを狙うほうがまとまります。
広い面は前述の通りエアブラシ側に任せたほうが、ラッカーの長所が素直に出ます。

水性アクリル/ファレホの希釈

水性アクリルは「水で薄められる」こと自体は事実ですが、エアブラシでは専用うすめ液を使ったほうが安定します。
『水性ホビーカラー』は公式でもエアブラシ時に塗料1:うすめ液1が基準として案内されていて、筆塗りは希釈なしでそのまま置ける色も多いです。
水だけで薄めると乾きが鈍くなったり、弾いたりすることがあるので、エアブラシ運用では純正の水性ホビーカラー用うすめ液や各ブランドの専用シンナーを前提にしたほうが流れが安定します。

水性アクリルの実践例としては、塗料4:溶剤6くらいまで薄めて霧を細かく作るやり方があります。
特に明るい色や肌色は、一度で隠そうとすると表面が荒れやすいので、少し薄めにして数回で育てる発想のほうが結果が整います。
GoodsPress Webのエアブラシ使いこなしのポイントは塗料の濃度でも、このあたりの比率が具体例として扱われています。

ファレホをエアブラシで使う場合、人によっては塗料:エアブラシシンナー = 1:0.5 を出発点にする例があります(出典: 実践例)。
色やロットごとに挙動が異なるため、必ず試し吹きを行って色ごとに微調整してください。

筆塗りの水性アクリルは、エアブラシほど厳密な希釈比に縛られません。
筆者は平筆で面を置くとき、塗料皿の上で筆先にだけ少量の専用うすめ液を含ませ、塗料を少しだけほぐす程度で使うことがあります。
これなら発色を落としすぎず、筆運びだけを軽くできます。

距離・エア圧・乾燥目安

吹き付け距離は約6cmを基準にすると、塗料が空中で乾き切る前に面へ届きやすく、かといって近すぎて一点に溜まる事故も避けやすくなります。
ホビージャパンウェブの作例検証では、12cmまで離すと塗料が乗りにくく、1.5cmまで詰めると偏りやムラが出やすい傾向が示されています。
数字だけ見ると差は小さく見えますが、実際に吹くと表面のまとまり方がはっきり変わります。

エア圧は0.1MPa前後が基準です。
0.3mm口径ならベースコートの大半はこの近辺で回せますし、細吹きやグラデーションでは0.05〜0.03MPaまで下げる運用もあります。
筆者は0.1MPa、距離6cm、希釈1:1からセットアップして、ムラが出たときは圧を少し下げ、次に塗料をわずかに薄め、それでも荒れるときだけ距離を少し詰める順で触っています。
この順番にしておくと、どこを動かした結果なのかを見失いません。

乾燥は「何分で絶対に次へ進める」と決め打ちするより、薄吹きで層を作って表面が落ち着いたのを見て進めるほうが事故が減ります。
ラッカーの薄吹きなら表面は比較的早く締まり、実作業では短い間隔で重ねられることが多いです。
水性アクリルはそれより少し待ち、指で触れずに見た目の艶引きが収まった段階で次の層へ入れると乱れにくくなります。
砥ぎや強いマスキングを伴う工程は、表面乾燥ではなく、塗膜が中まで落ち着いてからのほうが安全です。

TIP

希釈、距離、エア圧、乾燥の4つは別々ではなく連動しています。
塗料が濃いまま距離だけ離すとザラつき、薄いのに圧を上げすぎると流れやすくなります。
ひとつだけ大きく動かさず、基準値から少しずつ詰めると調整の原因が追えます。

よくある失敗と対処法

ベタつき

塗った面がいつまでも指に吸い付く感じで落ち着かないときは、まず厚塗りを疑うと切り分けが早いです。
特に一度で発色を出そうとして塗料を載せすぎると、表面だけ先に締まって中に溶剤や水分が残り、見た目より乾きが遅れます。
低温や高湿の時期も同じ症状を呼びやすく、梅雨どきはトップコートだけでなく下の色層まで乾燥待ちが長引きます。

対処はシンプルで、そこで追い吹きせず、次の層から薄吹きへ切り替えることです。
トップコート後に触る工程がある場合、実務上の目安例として48時間程度を空ける運用を取ることもありますが、気候や塗料で差が出ます。
事前に試し塗りで確認し、メーカーの指示を優先してください。

ABSパーツでベタつきに加えて細いひびが入る場合は、強い溶剤が負担になっていることがあります。
筆者はABSの髪パーツで一度これを経験してから、以後は水性アクリルを薄く重ねる方向に寄せ、目立たない裏側で先に試す手順を固定しています。
表面トラブルに見えても、素材への攻撃性が原因のことは意外と多いです。

剥がれ・マスキング

塗膜がぺりっと剥がれる、あるいはマスキングを外した瞬間に色ごと持っていかれる失敗は、塗装そのものより前の工程に原因があることが多いです。
代表的なのは脱脂不足と下地の食いつき不足で、PVCやレジンでは油分や離型剤が残っていると、上からどれだけ丁寧に塗っても密着が弱くなります。
こういうときは色を重ねる前に、プライマー入りの下地を追加したほうが立て直しやすいです。
GSIクレオスの『Mr.プライマーサーフェイサー』や、ガイアノーツのガイアマルチプライマーのような密着補助を挟むと、食いつきにくい素材で差が出ます。

マスキング剥がれは、テープ選びと剥がし方でも結果が変わります。
テープの粘着が強すぎると、塗膜が定着する前の境界を持ち上げやすくなります。
『タミヤ』のマスキングテープは模型用途の定番ですが、それでも不安な面では一度手の甲や作業マットに軽く当てて粘着を少し落としてから使うと穏やかです。
剥がすときは真上に引き上げず、塗装面に沿わせるように寝かせて、塗った方向へ戻すイメージで抜くと境目が荒れにくくなります。
『タミヤ』公式のマスキングテープ製品情報でも、模型塗装向けに薄さや追従性、糊残りの少なさが整理されています。

すでに剥がれた箇所は、浮いた部分をそのまま塗り込めるより、境界を整えてから部分的に下地を入れ直したほうが仕上がりが整います。
焦って色だけで埋めようとすると、そこだけ段差が残って後から目立ちます。

白化・ムラ・垂れ

トップコートが白っぽく曇る白化は、湿度の高い日に厚く吹いたときに起こりやすい現象です。
つや消し仕上げで出る印象がありますが、原因は表面の状態なので、慌てて拭いたり磨いたりすると余計に荒れます。
乾燥後に光沢クリアを薄く一層だけ重ねると透明感が戻ることがあり、筆者も梅雨時にトップコートが白化したとき、数時間置いてからそれを試して救えた経験があります。
それ以来、雨の多い時期は除湿機を併用して、吹く前の空気そのものを整えるようになりました。
Mr.HOBBYのトップコート系を含め、保護と艶調整の仕組み自体は同じなので、白化後のリカバリーでも厚吹きは避けて霧を軽く重ねるのが基本です。

ムラやザラつきは、吹き付け距離が遠すぎて塗料が空中で乾き始めているか、希釈が進みすぎて面に留まる前に散っていることが多いです。
こういうときは設定を大きくいじるより、まず距離を約6cmの基準へ戻し、次に希釈とエア圧の組み合わせを見直すほうが原因を追えます。
ザラついた面は、乾燥後に#2000で軽く表面をならしてから再塗装すると、荒れた粒を引きずらずに立て直せます。

垂れは反対に、近すぎる距離で一度に載せすぎたときの典型例です。
起きた直後に筆や綿棒で触ると傷が広がるので、その場ではいじらず乾燥待ちに回すのが正解です。
塗膜が落ち着いてから出っ張りを研ぎ出し、面を平らに戻して再塗装すると収まりがつきます。
次の一回では往復のパスを短くして、1往復ごとに少し間を置くだけで、同じ失敗は減っていきます。
ここがポイントなんです。
失敗の跡をその場で消そうとするより、原因ごと整理して一段戻したほうが、仕上がりはきれいに戻せます。

まとめと次の一歩

塗料選びは、性格の違いを押さえて工程ごとに役割を分けると迷いません。
ラッカーは速く乾いて塗膜が強く、換気前提で下地と本塗装の軸になります。
水性アクリルは臭いを抑えて取り回しやすく、室内作業の入口に向いています。
エナメルは主役ではなく、細部の描き込みや拭き取りを生かす仕上げ担当として置くと失敗が減ります。

素材を見る目も同じくらい効きます。
既製品PVCは脱脂とプライマー、ABSは強い溶剤を避けて水性寄り、レジンは洗浄とサーフェイサーを前提に組む。
この順番を守るだけで、剥がれやベタつきの多くは先回りして避けられます。
筆者はエアブラシでも、距離6cm・圧0.1MPa・1:1を最初の基準に決めてから、設定迷子が減って失敗も目に見えて少なくなりました。
まず基準をひとつ持つと、調整の意味がはっきりします。

チェックリスト

  • ラッカー、水性、エナメルの役割を工程別に分けて考えられている
  • PVC、ABS、レジンの下地処理を素材ごとに切り替えられている
  • 専用うすめ液や純正品を使い、換気と保護具を作業前の習慣にできている

次のアクション

  • how-to-airbrush-painting-basics.md (エアブラシ基礎:希釈・距離・圧)
  • how-to-surface-prep-resin-pvc.md (素材別下地処理:PVC/ABS/レジン)
  • basics-figure-types-guide.md (フィギュアの素材と種類の基礎)

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